石田レポート #1

「ぴゅうーん」
小野なつ季さん、通称「小野嬢」は稽古に疲れて「ぴゅうーん」と鳴いていた。
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それもそうである。
昨日リライトを命じられ、今日は今日で台詞入れを延々やっている。
小野嬢がだんだん疲れていく。
それが目でわかる。
もちろん他のキャストにとってもこの作業は辛いであろうが、小野嬢は特に辛そうである。
小野嬢はおかしい。
私が言うまでもなく、多分周囲の人もそう思っているのではないだろうか。
今回上演される「兄、部屋にて爆死」は去年初演を遂げている。
第二高校演劇部の卒業公演で上演された。
その時、初めて舞台で小野嬢を見たのだが、
もう最初っからおかしかった。
そもそも、「兄、部屋にて爆死」なんて本を書いてる時点でおかしいとは想像していたけど。
舞台に現れて早々、そのおかしみと、その色気に石田は驚愕した。
第二高校の制服に長い黒髪。
それだけなのに、小野嬢の色気はこぼれ落ちるほど溢れていた。
正直、
「高校演劇の舞台でこんなに色気のある人が出ていいのか」
と思ったくらいだ。
やけに色っぽい。
しかもだ、それが
「ナメクジ」とか言ってるだけで色っぽいのだから困ったものである。
いわゆる露出などを武器にすることなく、小野嬢はその存在自体が色っぽい。
もちろんこれは女の私が言うのだから性的な魅力だけでない。
繰り返すがなにやら、色っぽいのだ。
いつぞや、
「出ているより、引っ込んでいるところに味ってのはある」
という言葉を聞いたことがある。
小野嬢はまさにそんな感じである。
飄々としててナニを考えているのかわからない。
それなのに愛嬌もあるのだからたまったもんじゃない。
そして一番の魅力が
小野嬢が小野嬢であることだ。
じーっと観察していると。
いやあ小野嬢は小野嬢だなあ。
……うん、小野嬢だ。
……うーん、やっぱり小野嬢
稽古が進み、明らかに小野嬢が疲れていく。
それは、だらけてやがって生意気だ、と言っているわけではない。
小野嬢は多分、我々見知らぬ大人の前で礼儀を持って振舞おうとしている。
けれど、どうしても小野嬢が出ている。
だから、疲れていくのが目に見てわかる。
そして「ぴゅうーん」なんて口にする。
そのぴゅうーんを聞くとうれしくなる。
小野嬢は小野嬢だなあ。と。
むしろ、小野嬢が縮こまっているときは我々の罪でなかろうか。
今日も、小野嬢は赤いコートを着てきた。
そして帰っていった。
今日も石田は彼女の秘密を解くことが出来なかった。
しかし、できないからこそ小野嬢に私は見入ってしまうのかもしれない。
しかし、石田は慌てない。
だって本番になればいくらでも小野嬢を見ることができるんだから。
……いや、でもあんまり持ち上げるとなあ。
ほら、
事前に色々言うと
実際そうだとしてもそう見えなくなるじゃない。
うん。撤回しよう。
小野嬢の半分は垢でございます。
小野さんは普通の子です。
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そんなわけで石田です。
今日は作・妹役の小野なつ季さんについてまじめにレポートするつもりだったのですが、
なんだか、恋文のようになってしまいましたな。
しかし、小野さんをまじまじと見てられるって結構得だよなあって思います。本当。
そんなお得な「兄、部屋にて爆死」は3/23、24@早川倉庫が本番です!
是非是非!
【次回予告】
その青年は「ちゅうやん」と呼ばれていた
部屋の片隅で黙々と台詞を入れる中村青年。
18の彼がこの台詞に載せる思いとは。
そして、石田はまたこんな文体でレポートするのか?
さあてこの次も、
私、石田がお送りするよ!
ツイッターもよろしく!
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