石田レポート #2

「中村くんは好青年だよなあ」
午後七時現在、『兄、部屋にて爆死』情宣活動の一環としてブログを執筆している石田。
今日は兄役の中村亮太(18)について色々書かなくてはいけない。
そのため石田は中村くんのことを思い出していた。
・・・
中村くんは好青年だと思う。
まず、爽やかだ。
人見知りだと言っているけれど人当たりのよい青年だし。
初稽古で対面した時だってよく対応できていた。
「なかなかよい青年だ」
石田はそう思った。
いや、本当の初対面は去年の夏である。
・・・
中村くんは踊っていた。
「兄、部屋にて爆死」初演。
幕が開くと、踊っている彼がいたのだった。
中村くんの役は繰り返し言うが兄役である。
『兄、部屋にて爆死』という芝居で兄役なのだから彼が主役のようなもんだ。
しかし、芝居を見てみると
彼の妹が明らかに彼の主役度を脅かしている。
それでも、中村くん、もしくは兄は
「俺が主役だ!」
と自惚れることなく淡々と兄であり続けた。
妹に呆れられ、じゃれたり、とぼけたりしていた。
妹につきまとうことで存在していた。
しかし、妹が寝静まり兄が舞台に一人いるとき
兄は独白を始めた。
この一人で独白をしている時、
彼は主役であった。
恥ずかしい話だが、石田はこの兄の独白に泣いた。
一番前の客席でボロボロボロボロ泣いたんだった。
卒業公演ということもあって、カーテンコールでは部長挨拶があった。
そのときの現部長が中村くんだったのだ。
・・・
「ああ、部長だったなあ」
ブログを書き始めてからもうすでに十二時。
「部長だったからあんなに好青年なのかなあ」
中村くんはきっと人望があるに違いない。
稽古に対する姿勢も真面目で見ていて気持ちがいい。
大量の台詞をあっという間に覚えてしまい、頑丈な集中力も備えている。
大学でも演劇をやるらしいが多分上手いことをやるんだろう。
うん、上手いことやってほしい。
みんなにそう思わせる、
なかなかよい青年だ。
石田はそう思っていた。
……それなのに。
今日の稽古終わり、このブログの話をした。
「今日は中村くんのことを書きますよ」
すると、中村くんは
「そういえば(ブログを)後輩が面白いって言ってました」
と、言ってきた。
……なんと、あろうことか彼は石田にプレシャーをかけてきたのだ!
おのれ、中村!
――しかし、石田は理解した。
中村くんは小野嬢の仇を取りに来たのである。
昨日のブログで小野嬢のハードルをガンガン上げた石田に同じ思いをさせようという思惑なのである。
おのれ、中村!
「ちゅうやん」と呼ばれる分際で!
……しかし、仲間の仇取りとはなかなかの青年だ。
やっぱり彼は好青年なのだ。
現在、午前二時。
丑三つ時に、石田の背中がぞっと震える。
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今日は兄役・中村亮太くんについて文を認めました。
またもや石田の主観でもってお送りしましたが。
それから、中村くんこと「ちゅうやん」の写真を撮り忘れていたので
石田の似顔絵を載せます。
20120310-nakamura.jpg
実はこれ『兄、部屋にて爆死』のチラシについている【ぬりえ】に石田が目を描き足しましたのです!
そう『兄、爆』チラシには【ぬりえ】が付いているのです(笑)
このぬりえを上演中、会場で展示いたします。
また、「劇団四畳半」特設webサイトhttp://yojohan.tenkai.org/でも近日展示予定です。
みなさま、是非塗ってください!
ちなみに不思議少年『自尊心』(3/9~11)で折込をさせてもらっています!
そして、『兄、部屋にて爆死』の本番は3/23、24@早川倉庫です。
【次回予告】
石田に向けられる真っ直ぐな視線
それは一人の少女から注がれていた
ウダアキラ、メガネの奥の瞳で彼女はナニを訴える?
そして、ついに石田の前にあの人たちが現れる!!
さあてこの次も、
私、石田がお送りするよ!
ツイッターもよろしく!
https://twitter.com/tenkaisha

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